KAFE9 - KAAT

2012.08.21

池田扶美代 KAFE9に向けてのコメント

【今回の公演で挑戦すること】

今回だけではないのですが、私は舞台に立つ時にどうしたら自分を不利な立場に不安定な立場に持って行けるかいつも考えて実行する様にしています。

安定しない。定着しない。安堵しない。安心しない。隠さない。逃げない。不利な立場に身を置く。すべての条件を受け入れる。準備しない。(扶美代 in pieces ノートより)

こんなに長く日本語を舞台で喋るのは1990年のステラというローザスの作品以来です。母国語だと自分の中でどう変わるのか楽しみです。それとも何が変わらないのかも知りたいです。

2年間この作品を公演していないので、私の記憶と記録されたものから、出来る限り集め直しています。出て来たマテリエルを拾い直し、使えないものは捨て、記憶を元に新しく今しか出来ない事をやりたいです。

言葉とある一部のダンスは書かれたものです。どういう風に喋り、どう踊るかは決まっていません。あと即興もあります。どうなるか分かりません。何が起こるのか分からないんです。そう考えるともうドキドキして来ます。

 

【作品の好きなシーンについて】

自分作品の中で好きなシーンとかお気に入りのシーンとかないですよ。その日、その瞬間に、好きだったシーンはあっても次の日には忘れています。

音楽の題名は素敵です。リゲティーのQuartet No1のMétamorphoses nocturnes. Charles IvesのThe Unanswered Question. NicoのLe Petit Chevalier from The Frozen Borderline.

お客さんとの間に出来る空気やコミニュケーションの間に出来上がるその日の瞬間は好きです。何かその日のお客さんと秘密を持った気がします。

好きなシーンも好きな言葉も好きな動きも好きな何かもないけど、あぁ好きだなと思う瞬間があれば良いんじゃないでしょうか。

 

【作品をつくるにいたった背景、いきさつ、作品への思い】

キューピット役になった劇場のディレクターに後押しされていなくても、私達(ティムと私)はいつか一緒に仕事していたね。って1週間目のリハーサルのあとにお互い言いました。

ずっと仲間と踊って来て、もうこんな年齢なのに、ソロってやったことがなくて、舞台に独りっきりで立ってみたい。どこにも隠れる事が出来ないけど好きな舞台の上で独りで立ってみたいと思いました。

この作品は私が生きている間に何度も考えさせられるであろう「失う」という事に対しての一つの表現手段です。メインのテーマは「記憶」ですが、元は「失う」から来ています。

「9.11「3.11」の様にまだ皆が覚えている歴史的に大きな記憶も、語る人がいなくなったら、記録になり、もっと時間が経てば、記号になり、その後はすべて塵になっちゃいます。

記憶も想い出も思い出すから記憶と言えるし、想い出にもなります。でも、人間の80%の記憶は無意識な記憶で作られているんですって。

どの作品を創る時も演じる時も私からのメッセージはありません。メッセージはお客さんに何か感じ取って頂くもので、その感じた事は各自各自違うはずです。これはローザスの作品でも全く同じです。

ローザスで30年間仕事して、作品のメッセージやテーマの説明なんてアンヌ・テレサから受けた事はないです。批評家やお客さんが勝手に色々分析していますが、それで良いと思います。それはこの作品でも同じ事です。私が言葉や動きを発した瞬間、私だけのものではなくなります。

 

快快(FAIFAI) contact Gonzo 悪魔のしるし We dance 横浜 2012 池田扶美代 Co.山田うん 池田扶美代 x 山田うん Promenades blanches Bodies in urban spaces KAAT